
Spring Boot Starterって何?
Spring Bootを始めたばかりの方にとって、最初に戸惑うものの1つが「Starter」ではないでしょうか。
「何かよく分からないけど、とりあえずStarterが必要らしい」とか「Starterって何?必要なもの全部入れてくれる魔法の箱?」なんて思った方もいるかもしれません。半分正解です!
魔法の箱とは言いませんが、Spring Boot Starterは、特定の機能に必要な依存関係をまとめてくれる、非常に便利な仕組みです。これを使うことで、膨大な依存関係を一つ一つ記述する手間から解放され、開発効率を劇的に向上させることができます。
では、具体的にStarterとは何なのか、そしてどのように使うのかを説明していきます。
Spring Boot Starterとは
Spring Boot Starterは、MavenやGradleといったビルドツールで使用する依存関係の記述を簡素化するために作られています。
例えば、Webアプリケーションを作成する場合、通常であれば、Spring Webモジュール、Servlet API、JSPなど、多くの依存関係を個別にpom.xml
(Maven)やbuild.gradle
(Gradle)に記述する必要があります。
この程度であれば手動でもなんとかなりそうですが、プロジェクトが大きくなるにつれて、管理が煩雑になり、ミスも発生しやすくなります。バージョンの不一致や依存関係の衝突など、依存関係の管理は開発者にとって頭痛の種となります。
そこで登場するのが、spring-boot-starter-web
などのStarterです。
Spring Boot Starterは、特定のライブラリを示すものではなく、「Spring Bootアプリケーションでよく使われるライブラリ群をまとめたもの」です。
例に上げたspring-boot-starter-web
は、Spring Webアプリケーションに必要な依存関係を全てまとめてパッケージングしています。つまり、spring-boot-starter-web
を依存関係として追加するだけで、Spring Web に必要なライブラリを全てプロジェクトに取り込むことができるのです。
Spring Boot Starterを使った依存関係の追加
例えば、Mavenを使用しているプロジェクトでは、pom.xml
に以下のように記述します。
<dependencies>
<dependency>
<groupId>org.springframework.boot</groupId>
<artifactId>spring-boot-starter-web</artifactId>
</dependency>
</dependencies>
Gradleを使用している場合も同様で、build.gradle
に以下のように記述します。
dependencies {
implementation 'org.springframework.boot:spring-boot-starter-web'
}
たったこれだけで、Spring MVC、Jackson(JSON処理)、Tomcat(組み込みサーバ)など、Webアプリケーションに必要な主要なライブラリが自動的に追加されます。これにより、開発者は個々の依存関係を意識することなく、アプリケーションのロジックに集中することができます。
Spring Boot Starterの種類
Starterの種類は非常に豊富で、データベースアクセス(spring-boot-starter-data-jpa
など)、セキュリティ(spring-boot-starter-security
)、テスト(spring-boot-starter-test
)など、様々な機能に対応したStarterが用意されています。
Spring Boot公式はもちろん、コミュニティによっても様々なStarterが提供されているので、必要な機能に合わせて適切なStarterを選択することで効率的な開発を進めることができます(もちろん信頼できるStarterかは確認が必要です)。
Spring Initializr (https://start.spring.io/) というWebサイトを利用すれば、必要なStarterを選択してプロジェクトの雛形を簡単に生成することも可能です。
まとめ
このように、Spring Boot Starterは、依存関係の管理を簡素化し、開発効率を向上させるための強力なツールです。Spring Boot Starterのようなエコシステムが成熟していることが、Spring Bootが開発者に広く支持される理由の一つでもあります。
Spring Bootを学ぶ上で、Starterの理解は必須と言えるでしょう。
ぜひ、色々なStarterを試してみて、その便利さを実感してみてください!